コーヒーのドリップにおける「蒸らし」の効果と、実際のやり方をご紹介

コーヒードリップ

一般的なドリップ抽出でのコーヒーの淹れ方には、多くの場合「蒸らし」の工程があると思います。しかし蒸らしはコーヒーの風味にどのように影響するのか、実際にどのように行えば良いのかは悩ましいですよね。本記事では、

  • 蒸らしは何のためにやるの??
  • 実際にどうやればいいの?
  • という疑問に対して、文献情報を踏まえて答えを考えていきます。

    結論

  • 蒸らすことでお湯が均等にコーヒー豆に浸透し、成分を抽出しやすくなる
  • 最適な蒸らしの時間は30秒、お湯の量はコーヒー豆の2倍量
  • 蒸らしの効果

    蒸らしの目的は、お湯を均等に浸透させることです。適切に蒸らすことで、コーヒー豆に含まれる成分が溶け出しやすくなるため、コーヒー豆の成分を効率的に抽出することができます。実際に、蒸らしが不十分だと酸味が出やすくなることが報告されています1)。これは揮発性成分の抽出量が減少し、比較的抽出されやすい酸味成分が強くなってしまうためと考えられます。一方で長く蒸らしすぎると苦味が増す傾向があること等が報告されています2)。過抽出の状態となり、比較的溶け出すのが遅い苦味成分まで多く抽出されてしまうためと考えられます。

    コーヒードリップ

    ポイント①

    コーヒー豆を蒸らすことで、お湯を浸透しやすくしてコーヒー豆の成分を効率的に抽出できる

    最適な蒸らし方

    では、実際のドリップではどのように行えば良いのでしょうか。コーヒー豆の成分を効率良く抽出するという観点で、最適な条件は以下の通りです。

    ポイント②

  • 蒸らし時間:30秒
  • 湯量:コーヒー豆の2倍量
  • コーヒー豆がお湯を注いでから十分に膨潤するまでかかる時間は、30秒であることが報告されています。3)少なくとも30秒蒸らせば抽出不良になることもなく、また過抽出になることもないと考えられます。またお湯の量はコーヒー豆の2倍量程度が適切であるとされています。2)それよりも少ないとコーヒー豆全体に湯が行き渡らない可能性がありますし、それより多いと蒸らしの途中からお湯が下に落ち、薄まってしまう可能性があります。

    コーヒードリップ

    まとめ

    本記事のまとめです。

  • 蒸らすことでお湯が均等にコーヒー豆に浸透し、成分を抽出しやすくなる
  • 最適な蒸らしの時間は30秒、お湯の量はコーヒー豆の2倍量
  • ただし、コーヒー豆へのお湯の浸透は、コーヒー豆の種類や粒度、焙煎度合い、またお湯の温度等の影響も受けます。今回の情報は基本的な情報として捉えていただき、皆様それぞれの抽出条件に応じて適宜修正してご活用いただければと思います。

    以上、今回はコーヒーのドリップにおける「蒸らし」の効果と最適な蒸らし方のご紹介でした。
    素敵なおうちコーヒーのお時間の手助けになれば幸いです。

    本記事で引用した文献
    1)Coffee Brewing Methods:  Effect of Grind Size on Extraction and Physicochemical Properties of Arabica Coffee Brews. S. C. Silvarolla, D. Iamanaka, H. L. Sant’Ana, et al. Journal of Agricultural and Food Chemistry, 2005, 53(4), 1503-1510.
    2)The Coffee Brewing Handbook: A Systematic Guide to Coffee Preparation. Rao, N., Fuller, M., & Choi, J. Scott Rao, LLC, 2015.
    3)Swelling properties of roasted coffee particles. VB Hargarten, M Kuhn, H Briesen et al., J Sci Food Agric 2020; 100: 3960-3970.

    この記事の著者:COFFEE PLAT

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